懐かしギャルゲーレビュー

PS2中心にギャルゲーをプレイ。ネタバレしない程度に紹介。

作品リスト

あ~お

あいかぎ ぬくもりとひだまりの中で(PS2)
After… ~忘れえぬ絆~(PS2)
十六夜れんか ~かみふるさと~(PS2)
iris(イリス)(PS2)

か~こ

片神名~喪われた因果律~(PS2)
この晴れた空の下で(PS2)

さ~そ

Threade Colors(スレッドカラーズ) ~さよならの向こう側~(PS2)

た~と

てのひらを、たいように ~永久の絆~(PS2)

な~の

夏色小町 一日千夏(PS2)
夏色の砂時計(PS2)
夏少女 PromisedSummer(PS2)
North Wind ~永遠の約束~(PS2)

は~ほ

はっぴ~ぶり~でぃんぐ 〜Cheerful Party〜(PS2)
プライベートナース まりあ(PS2)

ま~も

モノクローム(PS2)

や~よ

雪語り リニューアル版(PS2)
夢見師(PS2)

ら~ろ

ラムネ~ガラスびんに映る海~(PS2)
Lost passage ~失われた一節(PS2)

 

North Wind ~永遠の約束~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2005/4/28
発売元:データム・ポリスター
※Dream soft「North Wind」移植作品

あらすじ

七蔵神社の「恋文ポスト」に出された恋文は、
恋文祭で燃やされ灰となり、その想いは北風に乗って届くという……

「恋文伝説」と呼ばれるそんな言い伝えが残る町・七蔵町に、
秋月誠は帰省してきた。
今回は、写真を撮りにきた後輩・冬蔦儚(ふゆつたはかな)も連れて。

雪が降りしきる中、七蔵町での日々が始まったのだった。

感想(良かった点など)

グラフィック関係はかなり良いです。
背景から雪景色の空気感が伝わってきますし、作品イメージに合ったキャラ絵も魅力。
二人のイラストレーターさんが担当されていますが、自然に溶け込んでいました。
あとBGMも、曲数は少ないですが冬っぽさがよく出ています。
クリスマスパーティーで流れる曲が特に好き。

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ヒロインは3人と少なめ。
その分一人一人の話はしっかりしており、ラストも感動的でした。

儚は写真スタジオの就職試験として、「自分の満足できる一枚を撮る」という
課題を出されていますが、実はこの旅行で誠に告白したいとも思っています。
たまに視点が切り替わり、儚視点からこうした気持ちが語られるので、
「なかなか告白できないもどかしさ」を丁寧に表現できています。
ちなみに、儚の口癖「ふわっ」が印象に残りました。
驚いたときは「ふわっ!」眠いときは「ふわぁ…」とか。

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佳暖は、怖い話を聞いてしまい「お兄ちゃんと一緒に寝る!」みたいな
定番な甘えん坊っぷり。ちなみに好物は山菜。シブい^^;
雪華は記憶喪失ですが、自分の境遇を前向きにとらえている元気ハツラツ少女。
おでんを取り合ったり、雪の中をソリで爆走したりと活発ですが、
後半になると、とある理由から大人しい娘に。
普段着もいいですが、巫女姿や水色の着物もなかなか好きでした。

感想(気になった点など)

Lastletter編をクリアするとNorthWind編が出てくる、二部構成ですが、
同じような話をダブってプレイしている感じ。
恋文伝説が詳しく語られるなどの違いはあるとはいえ、
これなら、深姫や水澄の攻略ルートがあった方が嬉しかったです。

良かった点にも挙げたように、儚の気持ちの揺れ動きなど、
心情が丁寧に描写されていますが、
そこにテキストを割きすぎていて、ダレてしまっているのも残念。
あと主人公がちょっと鈍めかな?
女の子に明らかに好意を示されても「気のせいだろう」と思い込むなど、
ちょっと違和感があるシーンも。

お気に入り度

お気に入り度「C+」

「ふわっ」と淡く溶ける雪のような、ちょっぴり切ない恋物語
時期外れですが……^^;冬の雰囲気がとても心地良い作品でした。

ちなみに、この作品の舞台は秋田県で、(七蔵町は架空の町)。
作品中の「恋文ポスト」も県内に実在するとのこと。

Threade Colors(スレッドカラーズ) ~さよならの向こう側~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2002/11/14
発売元:ディースリー・パブリッシャー
Simple2000シリーズ「THE 恋と涙と、追憶と…。」というタイトルの廉価版もあり。

 あらすじ

当麻尚登は道端で意識を失って倒れてしまい、しばらく入院することになった。

倒れる前、ガールフレンドの求塚由真と会っていたらしい。
だが、彼にはその時の記憶がない。
それに加えて、なんと母親の記憶も失っていることがわかる。

入院生活の中で、彼は記憶を取り戻すことができるのだろうか?

感想(良かった点など)

一般的なギャルゲーと違い、プロローグの選択肢でヒロインが決まります。

各ヒロインのルートはパラレルワールド扱いになっていて、
記憶喪失の真相などが大きく異なります。
繰り返しプレイでも新鮮に楽しめるでしょう。

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母親の死というショッキングな体験から、自分を守るために起きた記憶喪失。
思い出すことは、心の傷口をいじってしまうことでもあり……
苦しくても真実と向き合うべきか、辛いことは忘れるのが身のためなのかという話が
どのルートにも絡んでいます。

可愛い絵柄のわりにはけっこう暗い話。
ですが胸に迫るものがあり、作品のテーマも一貫していて素晴らしいと思います。

私のお気に入りは由真ルートですね。後半は先が読めるものの、
会うたび由真の雰囲気が変わったり、
面会に来たはずなのに、来てないと言っている食い違いがあったりと、
謎が謎を呼ぶストーリーに引きつけられます。

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話は変化球ですが、キャラの設定はわりとオーソドックス。
幼馴染の求塚由真、同居している従妹の当麻美桜、
悪友・草薙雄大の妹、草薙つばさなど、ギャルゲーのツボを押さえたヒロインたち。

ヒロインとの、コミカルなシーンが挟まれており、
話が重たくならないよう工夫されています。
絵もとても気に入りました。
特に美桜は、立ち絵の表情も豊かで可愛らしいです。

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あと、ヒロインごとに私服のパターンが6つぐらいあるのもいいですね。
例としてつばさを取り上げてみました。上のセーターっぽい服ともまた違います。
お気に入りはどの服なんでしょう?(笑)

感想(気になった点など)

話がときどき、
いかにも作ったような「ぎこちない流れ」になっている気がします。

満葉ルートで、先生の優しさが「母親に優しくできなかった代償」と疑うシーンなど、
そこまで深読みするのは不自然では?……と思ったり。
あと、つばさルートラストの種明かしなど、
せっかくの見せ場で状況説明っぽくなっているところも。

エンディングも、もうちょいすっきりとした結末がほしい。
楓ルートなどはまとまって感動したので、このような話を増やしても良かったかな。

幽霊・怪奇現象など、オカルトチックな演出も少し過剰に感じられます。

あと、BGMが怖い……ような。ちょっと不思議?
なんか「スレッドカラーズ的」としか言えないような、独特な味わい。

お気に入り度

お気に入り度「B+」

ジャンル「ココロ前向きアドベンチャー」ですが、はつらつとした明るさではなく、
「困難を乗りこえて進もう」という意味での、ココロ前向きというコンセプト。
感動するというよりは、考えさせられる話かな。
プレイしていて、こうしたメッセージがよく伝わってきました。

ストーリーの違和感はありますが、
感情移入できるシーンも多く、私にはヒットな作品ですね。

何気におまけシナリオ「うらスレ」も充実しています。
こちらは本編と異なり、思いっきりハメを外した内容も。
特に、雄大と看護師の寧子さんとの恋愛話が笑えました。
フルコンプしましたが、ヒロイン毎に異なるシナリオ+おまけシナリオと、ボリュームがあります。

片神名~喪われた因果律~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2004/11/25
発売元:アルケミスト

あらすじ

二泊三日の林間学校で、その事件は起こった。
主人公・雨村津雲は、彼女の結城流花と楽しいひとときを過ごしていたが、
なぜかその途中、流花が忽然と姿をくらませてしまう。

流花の手がかりを探す中で、
津雲は「神隠し神社」と呼ばれる出水神社へとたどり着く。
そこにあったのは、水晶のように輝く石。
石に触れた瞬間、津雲は意識を失ってしまった。

そして気がつくと、目の前には見知らぬ世界が広がっていた……

感想(良かった点など)

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実際に歴史学上で存在するとされている文献「カタカムナ」が取り上げられた作品。
ジャンル的にギャルゲーというよりノベルな傾向は強いものの、
恋愛描写もけっこう含まれているので取り上げてみました。

「古代日本における、国同士の戦争」がメインとなっているだけに、
バトルシーンの表現はなかなかで、
まるで目の前で戦いが繰り広げられているかのような迫力があります。
(生々しいところもあるので、好みは別れそうですが)

イザナミの持つ強大な力・カタカムナをめぐるエピソードも、
使い方によっては戦争の道具になりえてしまう力をどう使っていくのか、など
ズッシリと重みがあるテーマが描かれており、考えさせられました。

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ヒロインは4人。左から順に、イザナミ、流花、サチカ、ツクヨミ
私は、過去世界で最初に出会うツクヨミがお気に入りでした。
血にまみれた戦いしか知らなかった彼女が、津雲や他のヒロインたちと
打ち解け合っていく姿がとても良かったです。
物語後半では、再びツクヨミを戦いに駆り立てる出来事が……
そのとき彼女はどうするのか?なかなか見ごたえのあるシナリオでした。

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意外に表情豊かで、照れ屋さんだっりもします。うん……可愛い(笑)。
何気に右のサチカのうるうる顔も好きかも。

感想(気になった点など)

「現代、過去、未来。時空を超えたストーリー」ということで、
タイムパラドックス要素が入っているのですが、
この仕掛けが、どうもうまく絡んでいないような気がしました。

物語序盤で、流花の正体や目的が明かされた時点ではドキドキしましたし、
イザナミを助けたことで変わってしまった歴史など、
かなり引き込まれる点もあったのですが、
終盤は強引な展開も目立ち、いまいち何を伝えたいのかよく分からない部分も。

各ヒロインのエンディングも、悲劇的な流れが一転し、
現代に戻って急に「実は運命の因果律は変わっていた」的な
形に持ってかれているようで、スッキリしません。

お気に入り度

お気に入り度「C-」

世界観はとても良く、中盤あたりまではかなり楽しめました。
それだけに、もう少し後半のストーリーが整理されていれば……
と感じた惜しい作品でした。

あいかぎ ぬくもりとひだまりの中で(PS2):レビュー


機種:PS2
発売:2003/9/25
発売元:NECインターチャネル
※F&C FC02「あいかぎ ~ひだまりと彼女の部屋着~」移植作品

あらすじ

ごく普通の高校生活を送っていた、村瀬孝司(名前変更可)。
だがある日、父親が事故で急死するという不幸に襲われてしまう。

姉の宏美は、残された孝司のことを心配し、
楠若葉学園の教師でクラス担任の葉月彩音の家に居候させることに。

そこには彩音の妹で、クラスメイトでもある葉月千香も一緒に暮らしている。

まるで、三つのマグカップが寄り添うように。
2人の女子との、笑いあり涙ありの共同生活、はじまります。

感想(良かった点など)

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葉月彩音・千香姉妹との暮らしはドタバタ+マッタリ。
みそ汁の具について熱く語り合う。
歯ブラシを間違えて使っちゃってキャー^^:などなど……
何気ない日常の中で心がふれ合うような、心地よいシーンが盛りだくさんでした。

どちらもいいキャラですが、私的には千香ちゃん派。
大人しく家庭的な感じで、普段のもじもじしているのも可愛いですが、
彩音先生にみせている「素の姿」もそれはそれで良かったですね。
そして、このカメラ目線である(笑)
この絵、わりと頻繁に出てくるんですが、
そのたびに千香の目線が気になってしまった^^;
こっちみんな?いや、むしろこっちを見てくれ。

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勝気タイプなクラスメイトの室井祐希。喫茶店でアルバイトをしています。
迷惑、ウザい、来るな!とか、言葉遣いこそ乱暴ですが、
千香の告白に協力するなど、友達想いで根はとてもいい娘。
何やら問題をかかえている様子……力になってあげましょう。

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進路指導兼、スクールカウンセラーの山岸めぐみ先生。
ううむ……失礼かもしれませんが、あまりヒロインっぽさがない……なんて思ってたら、誰でしょうか、この天使は(笑)
メガネを外すると印象変化。これまたお約束^^;
お固いイメージのせいで、カウンセリングに来てくれない状況を
どう変えていくのか。試行錯誤していくストーリーも良かったです。
なんだかんだで一番好きなヒロインでした。

感想(気になった点など)

選択肢がシビアで、少し間違えるとバッドエンドということが多々あり。
通常の選択肢に加え、毎回「バイトに行く」「家の中をぶらつく」等の
行動を選ぶのですが、
どれを選べば誰に会えるかも分かりづらいため、自力攻略はキツそう。
私も、彩音先生ルートだけは見られましたが、
その後バッドエンド連発だったので攻略情報に頼りました。

あとはエンディングがあっさりしすぎているかな。
日常シーンがウリとは言え、山場はもう少し盛り上がりがほしかった。

お気に入り度

お気に入り度「C+」

とことんノーマルなギャルゲーですが、逆に飾らない感じが良いです。
ぬくもりとひだまりに包まれながら、
そしてOP「みっつのマグカップ」を聴きながら。
頭を空っぽにして、のんびりと楽しんでみましょう。

十六夜れんか ~かみふるさと~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2004/3/18
発売元:加賀テック
※千世「十六夜れんか」移植作品

 

あらすじ

右目が熱を帯び、目の前には不思議な光景が広がる。

南方直也
はときどき、そんな体験をすることがあった。

それを絵にしたところ大当たり。
彼は画家として、帝都でその名が知れ渡っていくことになる。

だが、自分が描きたかった絵ではなく、
幻を写しているだけの絵で成功してしまったことに疑問も感じていた。

そんな、帝都での暮らしに疲れきった直也は、
故郷である御恵名(みえな)村にへと戻ってくる。
村長の娘である葛城緋文、巫女の佐伯乃眞鳥
二人の幼馴染にも、温かく迎えられた。

再びはじまる御恵名での生活。
そこには、新しい出会いも待ち受けていたのだった。

感想(良かった点など)

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日常パートは「和+田舎」でのんびりした空気。
しかしメインのシナリオは、「転生」がテーマになっておりシリアス。
見せ場では、直也の特殊能力を活かしたバトルもあり、手に汗握る展開になるなどメリハリが効いていました。

私は眞鳥ルートがお気に入り。別人格「ヒサギ」がひねくれた子どもみたいで超可愛い。眞鳥への嫉妬ばかりだった彼女が、次第に歩み寄っていく姿が微笑ましいです。
字を覚えて眞鳥に手紙を書くシーンとか、ニヤニヤが止まりません。

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葛城緋文。愛称ひふみんひーちゃんも可愛いですね。
口より先に手が出るタイプ。こういうヒロイン好きです。
「帰ってきてくれてありがとう」「迎えてくれてありがとう」という、
素朴な関係性も心地よい。
着物がちょっと短すぎませんか?(笑)

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闇の狩人ヴェーチェルさん、ミステリアスな少女あや、診療所の娘・ちょっとおませな凛ちゃん等。
ゲームっぽさがありながらも、昭和初期をイメージさせ、
レトロさもきっちり漂うキャラデザがかなり好みです。
凛ちゃんの洋装とか、いかにも昭和っぽい。

感想(気になった点など)

バトル展開は悪くないと思うが、
やはりギャルゲーとしては、もうちょい穏やかに終わる話が見たい。
全てのルートでああいった流れにしなくてもいいのでは、とも感じます。

絵柄はとっても好きですが、立ち絵が小さく、少しぼやけているのが惜しい。
あと、一枚絵にたまに違和感がある絵が混じっていました。
緋文が急に大人っぽい顔になったり、
食事しているシーンの絵で、テーブルに何も乗ってなかったり。
「エアご飯」状態はなかなかシュールな光景(笑)
あとで書き加えようとして時間が無くなってしまったのかも。

お気に入り度

お気に入り度「B-」

絵が可愛らしく、伝奇風な世界観も気に入りました。
ギャルゲーというと現代を舞台にしたものが多いですが、
こういうちょっと昔っぽい作品も好きですね。

余談ですが、BGM全曲や主題曲が入ったサントラCDがもれなく付いてます。
同ブランドの「六つ星きらり」にも付いてますが、
初回限定でなく、全部につけているのはなかなか太っ腹でしょう。

日常BGM「風にのせて」は、いかにも田舎に帰ってきました感がステキです。
OPテーマ「恋歌」はゆったりめのテンポながら、
ストリングスの刻みが和風の舞いを感じさせるようなリズム感。サビもカッコいい。

After… ~忘れえぬ絆~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2004/2/26
発売元:ピオーネソフト
※Ciel「After…」移植作品

あらすじ

主人公の高鷲祐一は高校生活の締めくくりに、とある目標を立てた。
それはワンダーフォーゲル(登山)部の仲間、滝谷紘太郎我孫子慶生とともに
「冬のアルプスを縦走」すること。

幼馴染の汐宮香奈美、妹の高鷲渚、紘太郎の幼馴染の喜志陽子も新たに加わり、
6人となったワンダーフォーゲル部は、目標に向かって動き始める。

その先に過酷な運命が待ち受けているとは、この時、知る由もなかった……

感想(良かった点など)

作品の性質上、ネタバレ多めなレビューになってしまうことをお許しください。

ストーリー後半、聡という人物を助けたため命を落としてしまう主人公・祐一。
その時、なんと祐一の魂は他の人間に入り、
いわば乗り移りのような状態になってしまいます。

「魂はまだ生きている」と言っても、周囲には信じてもらえないわけで、
それをどのように伝えるのか、
また、元の体の持ち主とどう折り合いをつけていくのかなど、
やや非現実的ながらも、興味を惹かれるシーンが多かったです。

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祐一の死後、残された人たちの心理描写も見どころの一つでしょうか。
親しい人の死に直面し、ショックを受けるワンゲル部のメンバーたち。
少しずつ現実を受け止め、祐一の死を過去のものにしていきます。
香奈実の、
「あたし、ユウがいなくなってもお腹が空くの。そういうことなんだな……って。」
というセリフはそのことを象徴しており、心に響きました。

登場人物の死を扱ったゲームは他にもありますが、
この作品は、特に「死を受け止めて前に進む」という演出が細やかで、
共感を持てます。

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ヒロインは3人(+クリア後に2人)とやや少なめ。
その中では香奈美(写真中央)がお気に入り。
表情もコロコロ変わって可愛いし、
「別にユウのことなんて幼馴染としか思ってないからね!」という
分かりやすいツンデレっぷりがいい。
キャラのインパクトとしては渚(写真右)かな。
可愛らしい妹ヒロインなだけに、後半の人の変わりようにビックリするかも。
陽子(写真左)は、2人に比べると目立ち度低めですが、
紘太郎とのやり取りは、祐一×香奈美とはすこし違う幼馴染の形が出ていました。
ピアノで「ユーモレスク」を弾くシーンに思わず涙が。

感想(気になった点など)

純粋なハッピーエンドが一つもなく、最後はしんみりとした気持ちになりがち。
どのルートも似たような結末になるのも残念でした。

渚や陽子がワンゲルに入る動機がいまいち見えなかったり(そもそもワンゲルのシーンが少ないですし)、
聡が、親への反骨心から山に登るというのが少しこじつけっぽかったりと、
ストーリーの細かい部分で気になるところも。

あと、渚ルートの我孫子慶生君の暴走っぷりはどうなのか。
私的には、こういうちょっと歪みのあるキャラも嫌いではないですが、
それにしても渚への愛情表現は度が過ぎていて少し不快。
オチで起きてしまう事件のこともあり、このルートは後味が悪いなと思ってしまいます。

システム面では、スキップの遅さが辛い。最速にしても軽く文字が読めます。
まぁ、長くない作品なのであまりストレスは感じませんが。

お気に入り度

お気に入り度「B-」

死という現実は変えられないけれど、残せるものがあれば……という話で、
ちょっと暗いですが、私はけっこう気に入りました。
鬱ゲーっぽさと、後半の現実離れした展開が受け入れられるかで
好みは別れるでしょう。