懐かしギャルゲーレビュー

PS2中心にギャルゲーをプレイ。ネタバレしない程度に紹介。

After… ~忘れえぬ絆~(PS2):レビュー

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機種:PS2
発売:2004/2/26
発売元:ピオーネソフト
※Ciel「After…」移植作品

あらすじ

主人公の高鷲祐一は高校生活の締めくくりに、とある目標を立てた。
それはワンダーフォーゲル(登山)部の仲間、滝谷紘太郎我孫子慶生とともに
「冬のアルプスを縦走」すること。

幼馴染の汐宮香奈美、妹の高鷲渚、紘太郎の幼馴染の喜志陽子も新たに加わり、
6人となったワンダーフォーゲル部は、目標に向かって動き始める。

その先に過酷な運命が待ち受けているとは、この時、知る由もなかった……

感想(良かった点など)

作品の性質上、ネタバレ多めなレビューになってしまうことをお許しください。

ストーリー後半、聡という人物を助けたため命を落としてしまう主人公・祐一。
その時、なんと祐一の魂は他の人間に入り、
いわば乗り移りのような状態になってしまいます。

「魂はまだ生きている」と言っても、周囲には信じてもらえないわけで、
それをどのように伝えるのか、
また、元の体の持ち主とどう折り合いをつけていくのかなど、
やや非現実的ながらも、興味を惹かれるシーンが多かったです。

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祐一の死後、残された人たちの心理描写も見どころの一つでしょうか。
親しい人の死に直面し、ショックを受けるワンゲル部のメンバーたち。
少しずつ現実を受け止め、祐一の死を過去のものにしていきます。
香奈実の、
「あたし、ユウがいなくなってもお腹が空くの。そういうことなんだな……って。」
というセリフはそのことを象徴しており、心に響きました。

登場人物の死を扱ったゲームは他にもありますが、
この作品は、特に「死を受け止めて前に進む」という演出が細やかで、
共感を持てます。

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ヒロインは3人(+クリア後に2人)とやや少なめ。
その中では香奈美(写真中央)がお気に入り。
表情もコロコロ変わって可愛いし、
「別にユウのことなんて幼馴染としか思ってないからね!」という
分かりやすいツンデレっぷりがいい。
キャラのインパクトとしては渚(写真右)かな。
可愛らしい妹ヒロインなだけに、後半の人の変わりようにビックリするかも。
陽子(写真左)は、2人に比べると目立ち度低めですが、
紘太郎とのやり取りは、祐一×香奈美とはすこし違う幼馴染の形が出ていました。
ピアノで「ユーモレスク」を弾くシーンに思わず涙が。

感想(気になった点など)

純粋なハッピーエンドが一つもなく、最後はしんみりとした気持ちになりがち。
どのルートも似たような結末になるのも残念でした。

渚や陽子がワンゲルに入る動機がいまいち見えなかったり(そもそもワンゲルのシーンが少ないですし)、
聡が、親への反骨心から山に登るというのが少しこじつけっぽかったりと、
ストーリーの細かい部分で気になるところも。

あと、渚ルートの我孫子慶生君の暴走っぷりはどうなのか。
私的には、こういうちょっと歪みのあるキャラも嫌いではないですが、
それにしても渚への愛情表現は度が過ぎていて少し不快。
オチで起きてしまう事件のこともあり、このルートは後味が悪いなと思ってしまいます。

システム面では、スキップの遅さが辛い。最速にしても軽く文字が読めます。
まぁ、長くない作品なのであまりストレスは感じませんが。

お気に入り度

お気に入り度「B-」

死という現実は変えられないけれど、残せるものがあれば……という話で、
ちょっと暗いですが、私はけっこう気に入りました。
鬱ゲーっぽさと、後半の現実離れした展開が受け入れられるかで
好みは別れるでしょう。