懐かしギャルゲーレビュー

PS2中心にギャルゲーをプレイ。ネタバレしない程度に紹介。

夏色の砂時計(PS2):レビュー


機種:PS2
発売:2002/5/30
発売元:プリンセスソフト

あらすじ

牧村耕太郎は、夏のあいだに同学年の芹沢香穂に告白しようと決心する。
だが次の日、耕太郎はなぜか始業式(9月1日)にタイムトリップしていた。

そして、そこで知らされたのは、
8月31日、香穂は事故に遭い亡くなったという
衝撃的な真実であった……

感想

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家庭用への移植をメインに行っていたプリンセスソフトさんの、
初のオリジナル作品だそうです。
デイドロップ」という時間移動をくり返して未来を変え、
ヒロイン・芹沢香穂の事故死を回避する、というのが目的。

時間移動ネタを利用して伏線を張っているのが面白いです。
香穂が「小鳥のこと」と言っていたのが、
あとで、実は耕太郎が小鳥を助けていたことだと分かったり。
飛び越えた時間のエピソードが明かされたとき、
あの時のあれはこういうことだったのか……となることがいくつもあり、
ストーリーに引き込まれました。

一方、気になった点もけっこう多かったです。
まず、恋愛描写がかなり唐突。
ラブレターを読むことを拒否するなど、ガードの固かった香穂が
少し手助けしただけで急に惚れてきたり。
今まで誰も友達がいなかったはずの水泳部員・川村真魚と、
会って数回でいつの間にか打ち解け合ってるのもちょっとおかしい。

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水泳部で寡黙な少女の真魚、オトナな化学教師の朋美
タイムパトロールのリージェンといったサブヒロインもいい味は出ていますが、
ヒロインとの会話はやや淡白で、キャラをあまり掘り下げられていない気がします。

香穂以外のルートだと、香穂と親しくならなかったので、
会う約束をしなかった。すなわち交通事故も起きなかった……とか、
ついでのように未来が修正されてしまったりする。この点もどうかと思いました。

ただ、幼馴染の「瀬能あい」ルートは結構好きです。
この腕上げはなんだろう?(笑)
あいは同じ年ですが、見た目的には妹キャラっぽいと思いながらプレイしてました。
近くにいるからこそ、恋愛の芽に気づかない……というお決まりの話ながらも、心理描写はいい感じで、仲良くなったところで香穂との修羅場というのも盛り上がる。
思わぬ形で、香穂の事故のきっかけが作られてくる流れも良かった。

あと、何気に一番バッドなエンドも好きかも。
リージェンの「たかが70年、80年」っていう言葉が皮肉にも
救いになってしまったという表現は、なるほどと思いましたし、
電車が近づいてくる緊迫したラストも良い。
……まぁ、わざわざバッドを目指すこともありませんが、
香穂は助かるけどもう一つの悲劇は救えない、というややバッドエンド(?)も
あったりします。

自動スキップが遅い、絵の表示や音楽の切り替わりにラグがあるなど、
システム面はイマイチ。この辺はまだ作りが古かったので仕方ないか。

絵は、立ち絵はいいですが一枚絵に違和感があるものが多いです。
最後のほうに出てくる、車道に飛び出した香穂を助けている絵とか。

ちょっと粗はあるものの、
過去に行ったり未来に行ったりする展開は単純に面白く、
恋愛よりも、謎解きメインと考えれば悪くない作品でしょう。

お気に入り度「C+」